【エンジニアコラム】早く質の高い調査を行う方法
ITエンジニアの仕事は調査の割合が多くを占めます。設計をするにしろコーディングをするにしろまず調査をしてから進めるためです。
この"調査"は個人の力量が大きく反映されるタスクで、人によっては早くかつ質が高い調査結果を出しますし、別の人はとんでもなく長い時間をかけたにも関わらず役に立たない調査結果を出すこともあります。
この違いを生む原因は何なのでしょうか?
私はITエンジニアとして複数年調査タスクをこなし、また管理職としてメンバーの調査結果レビューをたくさんしてきました。今回はそれらの経験を踏まえて、良い調査と悪い調査にはどんな違いがあるのかをお話しした後、実際に早く質の高い調査結果を出すための具体的な方法までお話します。
良い調査の秘訣
最初に結論をお伝えします。私が考える良い調査とは最終的なアウトプットへの道を外れない調査です。
調査には必ず目的があります。実現可能性を確認するのか、実装方法を探すのか、良い選択肢はどれなのか等々。良い調査の場合は常に目的が念頭にあり、目的に対して一直線に調査を進められています。その結果本当に必要な内容だけを調査でき、必要な情報がそろった質の高い調査結果を素早く提出することが出来るのです。
逆に目的を忘れているとどうなるでしょう。調査はすればするほど気になることがどんどん出てきます。そして気になったものを片っ端から調査します。目的とかけ離れ、最終的な調査結果には紐づかない事項であるにも関わらずです。つまり悪い調査をしている人は無駄な作業をしてしまっているのです。
まとめると、良い調査を行う秘訣は常に調査の目的を念頭に置き、定期的に調査が目的達成につながっているかを確認することです。
言葉にすると簡単そうですが、これはかなり難しいです。目的を頭に入れているつもりでも、目の前の調査に集中しすぎて気付いたら目的から逸れている、ということがよく起きてしまうからです。
これを防ぐ方法をこれから伝授します。
脇道に逸れない方法
調査に集中しすぎて脇道に逸れないようにする方法は、調査によって作成する資料の結果記載箇所のフォーマットをあらかじめ考えておくことです。先に挙げた例の中に"実現可能性調査"がありましたが、再度これを例とすると、結果記載箇所の項目には以下が必要になると考えられます。
- 実現可能性ある/なし
- 実現可能性がある場合
- どのような手法で実現できるのか
- エビデンス(試した結果など)
- 参考になる記事
- 実現可能性がない場合
- どのような手法が候補として上がったのか
- エビデンス
- 参考になる記事
これらのフォーマットは実際に調査結果の資料にそのまま記載するのが良いです。見出しを正しく設定したり、表を利用したりなどしてできる限り最後に資料として提出する体裁に近づけてください。
また私は調査の結果と調査の詳細の大きく二つのパートに調査結果を分けることが多いのですが、この調査の詳細の方にもあらかじめ考えた調査結果のフォーマットをコピペして見出しにしておきます。
調査の進め方は、調査内容を詳細パート内の適切な見出しの箇所にを残しながら進める形になります。このやり方なら最終的な結論のうちどこに当てはまる調査をしているのかを常に意識しながら、エビデンスを残しつつ進められます。
単純に意識するだけでは気づかないうちに目的から逸れてしまうでしょう。だから逸れないように行動自体を変える必要があります。
もし調査結果を残す適切な場所がないのであれば、それは調査が脇道に逸れているかもしくは最終的な結果として提出するフォーマットに不足があったかになります。つまり想定していたゴールから少しでもずれたら見直す機会がすぐに訪れてくれます。
注意点
簡単にお話をしましたが、経験が浅いうちはこのやり方は相当難易度が高いです。理由は以下の二つです。
- 最終的な調査結果のフォーマットを決めることが難しい
- 必要な調査になっているかの判断が難しい
これらについては上長に相談することで解決しましょう。上長は経験が長いために全体が見えている可能性が高いです。全体が見えているなら全体の中でのその調査の位置付けも把握しているはずなので、最終的に欲しい結果のフォーマットもイメージが付きますし、必要な調査の判断もできます。最終的にはこの二つも自分自身でできることが理想ですが、最初は上長からのアドバイスを補助輪にしてまっすぐ前に漕ぎましょう。
人に適切に頼ることはタスクの進捗だけでなくあなたの成長にもつながります。
まとめ
あらかじめ調査結果のフォーマットを決めておくことで驚くほど早く、そして質の高い調査が可能になります。一度だけでも良いので試してみてください。きっと効果に驚くと思います。