【実例付き】円満に会社を辞められる退職理由【エンジニア】
先日新卒で入社してから6年間勤めていた会社の上司に退職したい旨を伝えました。初めての退職報告でさすがに緊張していたのですが、無事円満に送り出していただくことができました。
「上司が物分かりの良い優しい人だっただけでは?」と思われる方もいると思うのですが、昨年私の1つ上の先輩が辞める際にはかなり苦言を呈されており、また数年前に辞めた私の同期も退職を伝えた時に大分詰められたとのことだったので、上司は"物分かりの良い優しい人"ではないのだと思います。
そんな上司でも円満に送り出していただけたのは、私が戦略を練っていたからだと思っています。
伝える内容によっては相手を怒らせてしまうかもしれません。強引に引き止められたり、強い言葉で罵ってくるかもしれません。
そのような自体を防ぐためにもどのような内容の退職理由を伝えれば良いのかを私が実際に話した具体例も併せてお伝えいたします。
最高の退職の条件
円満に退職するために伝えるべき退職理由は「今の会社では経験できない新しいことにチャレンジしたい」という方向性の内容です。
この退職理由がなぜ良いのか説明する前に、そもそも最高の退職とはどのようなものか明らかにしておきます。最高の退職が一つのゴールになり、このゴールにたどり着くための戦略として退職理由を考える必要があるからです。
私の思う最高の退職とは以下3つの条件を満たしたものです。
- 会社と良好な関係のままである
- 辞めたい時期に辞められる
- 辞めるまでの間、次の仕事に役立つ業務を任せてもらえる
また最高の退職の条件とは異なるのですが、もう一つとても重要な点が以下です。
- 退職理由で嘘をつかない
それぞれ説明します。
会社と良好な関係のまま
辞める決意をしたら気持ちはハイになります。「もう辞める会社なのだからどう思われても良い」そう考えてしまう方もいますが、会社とは良好な関係を保った方が良いことがたくさんあります。
1つ目が処遇です。辞めることを伝えてすぐ辞めることは基本的にはできず、引継ぎ作業があったり人によっては有給消化をするでしょう。その際に不当に評価を下げられて給料やボーナスを減らされる可能性があります。しかし良好な関係を持てていればそのようなことは起きないでしょう。
2つ目の良い点がやめた後に関係を持てるかもしれないという点です。ITの世界は割と狭いので辞めた会社と関わる機会も出てくることでしょう。また転職後再び戻りたいと思った時にも戻りやすくなります。仕事の勝手が分かりつつ安心して業務ができる場所を保険として残すことが出来るのでとても心は楽になります。
辞めたい時期に辞められる
退職を決意したらできるだけ早く辞めたいと思います。ただし会社としてはできるだけ残ってもらって業務をこなして欲しいので、なんとかして引き伸ばそうとしてきます。思いが完全に正反対なので意見がぶつかることは避けられませんが、会社側に納得してもらいつつやめたい時期に辞められるのが一番良いです。理想ではありますが、これを実現する方法もあるので後述します。
辞めるまでの間、次の仕事に役立つ業務を任せてもらえる
基本的には退職後には新しい仕事に付くと思います。退職を会社に伝えた後には次の仕事の際に利用する知識が身につくような業務を任せてもらい、次の仕事へのステップにできることが理想です。
退職理由で嘘をつかない
嘘はバレます。
あなたが退職したいことを打ち明ける上司は何回も退職をしたい社員の相手をしています。経験値が違うんです。そのためあなたが本心と異なることを伝えてもすぐにバレてしまうでしょう。嘘だと思われるとその他の発言にも不信感を抱かれてしまい今後の関係に傷がつきます。くれぐれも思っていないことは伝えないようにしましょう。
退職理由はこれを言え
上であげた条件を満たすことを考えると、退職理由として伝えるべき内容がわかってきます。
それが「今の会社では経験できない新しいことにチャレンジしたい」という方向性の退職理由です。
「今の会社では経験できない新しいこと」とは、異動や昇進によって経験できることではなく、扱っている製品やお客様の性質、対象分野、規模などの違いによって「そもそも今の会社に居続ける間は経験できないこと」を指します。
なぜこの理由が良いのでしょうか。最高の退職の条件それぞれと照らし合わせて考えてみます。
会社と良好な関係のまま
まずは1つ目の最高の退職の条件「会社と良好な関係のまま」について。
条件の中では「会社」と表現しましたが、具体的には上長や会社の上層部の人が対象です。
上長や上層部の人はあなたが会社を辞めた後にも残り続ける人です。そんな人に向けてあなたが会社を辞める理由として、会社への不満を述べたらどうでしょう。
暗に「こんなに悪い点がある会社によく残っていられるな」ということを伝えていることになります。それだけならまだしも上司や上層部の人は会社を組織する立場にいます。会社への不満を伝えることは上司、上層部が行っている仕事を直接批判することと変わりありません。辞める決断をした上で自分を批判してくる人に良い印象を持つ方はいないでしょう。
反対に「その会社では経験できない新しいことにチャレンジしたい」という理由の場合はどうでしょうか。こちらの場合、会社への不満を伝えるわけではないので伝えられた相手も悪い気はしません。その理由であればしょうがない、と納得してもらえます。この形で理由を伝え、自分が持っている仕事を完遂し、引継ぎまで完全に終えることができればあなたは会社と良好な関係を保つことができるでしょう。
辞めたい時期に辞められる
基本的には次の会社の入社時期が決まっていれば、会社はその時期までに辞めさせざるを得ません。しかし決まっていない場合は違います。会社内での仕事の進め方について熟知しているあなたにはできるだけ長く会社にいてもらうことを望むでしょう。
そのときに辞める理由として会社の悪い点を述べた際には悪い点をできるだけ解消するからもう少し長くいてくれないか、という話に持っていかれます。
しかし「新しいことにチャレンジしたい気持ちがとても大きくなっている」ことを熱意をもって伝えつつ、「この時期からこんなことを始めようとしている」というプランまで話すと、会社はあなたを引き止めることによりあなたの夢を邪魔することになります。
マイナスな理由を伝えた場合には会社側が引き止める理由を述べることで正義の側になるのに対し、ポジティブな理由を伝えた場合には引き止めることで悪者になります。人は悪者になりたくありません。その結果、ポジティブな理由を伝えることで引き止められにくくなり、辞めたい時期に辞めやすくなるのです。
辞めるまでの間、次の仕事に役立つ仕事を任せてもらえる
不満を伝えた場合にはあなたが何をやりたいのか会社は把握していない状態です。そのため、何をあなたに任せるべきなのか会社は判断がつきません。また不満を述べて辞めていく人に対して、スキルアップにつながる良い仕事を任せることはないでしょう。
しかしやりたいことを述べた場合にはどうでしょうか。管理側の人はできるだけ多くの成果を社員に出して欲しいと考えています。当然社員が何に対してモチベーションを高く取り組めるかも考慮します。あなたはやりたいことを上司に伝えています。その結果、あなたがモチベーション高い状態で良い成果が出せる仕事として、今後に役立つ仕事を回してくれる可能性が高くなります。
嘘をつかない
嘘はばれます。ここまで様々な条件を述べてきましたが、伝えている理由が本心なのだと会社側に思ってもらえなければ意味がありません。「表では良いことを言っているけど、裏では不満もあるんだろうな」と勘付かれたら、良好な関係も保てませんし、引き止められますし、良い仕事もさせてもらえません。
あなたが会社を辞めるということは少なからず今いる会社に対して不満があるはずです。しかし、それと同時に次の仕事で望んでいることもあるでしょう。それを膨らませるんです。できるだけ具体化してスケジュールも練りましょう。ここでどれだけ具体化できているのか、次の仕事に対してどれだけワクワクした気持ちを持てているかで、退職理由を伝える際の熱量が変わってきます。何を聞かれてもすらすら答えることができて、本心から伝えているのだと納得してもらえるでしょう。
ネガティブな面は心に秘めて、ポジティブな部分を具体化した上で伝えましょう。これが一番重要です。
なぜ良いのかのまとめ
ネガティブではなくポジティブな理由を伝えると、会社側は辞めないように交渉する余地がないことを認識してくれるので、スムーズに退職することが可能になります。「待遇改善するから」だったり「制度を変えていくから」など変な攻防をする必要がなくなるからです。戦わずして勝つ、それが「今の会社では経験できない新しいことにチャレンジしたい」という退職理由の最大の強さです。
具体例
それではここからは「その会社では経験できない新しいことにチャレンジしたい」という方向性の退職理由の具体例を紹介していきます。
私が辞める際に伝えた理由
私は「フリーランスエンジニアとして稼ぎつつ、並行して自分で一般の方向けの小さなソフトウェア・アプリを開発して自分で販売する小規模ビジネスをしたい」ということをお伝えしました。
私の会社は扱っている製品が巨大なソフトウェアでありBtoBの会社でした。作りたいものの規模や対象のお客様が異なるので私がやりたいと考えていることは今の会社にいる間は経験ができないことです。
やっていきたいことは人によって変わるものです。感情については誰も否定することはできません。最初に伝えた直属の上司、別の部門の上役、会社の役員の方すべてにこの退職理由で快く納得していただけました。
その他の具体例
理由の作り方の基本は「今いる会社でできること」と「今後やっていきたいこと・今後勤める予定の会社でできること」の差分を元にするということです。
BtoBの企業から、一般向けのソフトウェアの開発をしているところに転職予定なら、「よりたくさんのお客様からの声がダイレクトに伝わってくる環境で開発をしたい」だったり、逆向きであれば「業務をとめることが許されない圧倒的な質が求められる企業で開発がしたい」という例が挙げられます。
他にも「労働形態の違い」「開発スパンの違い」「ハードが関係するしないの違い」「扱う製品の違い(Webサービス、アプリ、デスクトップアプリ)」などが理由に組み込めます。
何かしら差分は見つけられると思うので、見つけた後には深掘りしポジティブで具体的な夢に昇華させましょう。
まとめ
この記事では会社を円満に辞めるために伝えるべき退職理由について解説いたしました。
「今の会社では経験できない新しいことにチャレンジしたい」
この方向性で退職理由を考え、できる限り具体化してください。この作業は円満退社につながるだけでなく、将来をきちんと見つめ直すことにもなります。一石二鳥です。
自分自身に向き合いながら退職理由をじっくりご検討いただき、円満退社されたのちにあなたが今よりも良い生活を送れるようになることを願っています。